株式会社日本政策投資銀行(DBJ) 大分事務所
大分市中心部のビル内に佇む、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)大分事務所。この場所は、金融から地域と社会の未来を耕す拠点として、2024年9月、内装を一新しました。
エントランスから内部へ空間を導くのは、大分県産杉を用いたルーバーの壁。柔らかな曲線とリズムが空間に奥行きをもたらし、無限にどこまでも続いていく感覚から、未来へと続く時間の流れを想起させます。杉材は県内工場で不燃処理を施し、建築基準法の内装制限を満たしながらも、大分県の素材と技術が生きるように設えました。
空間は用途に合わせて異なる照明計画を採用しています。エントランスでは廊下の曲面と木の縦格子が温かみのある光を受け、来訪者を優しく迎え入れます。所長室では、上下配光が可能なリング状の照明で天井面と机上面を柔らかく照らすことで、空間全体を光が包み込むような落ち着いた雰囲気に仕上げ、応接にも相応しい空間を目指しました。一方、執務スペースには業務効率を高める昼白色照明を採用し、明るく機能的な空間に。Web会議用に新たに設えたミーティングルームはガラス張りの空間とし、グラデーションフィルムを貼ることで、開放性を保ちつつ、遮音性・機密性の高い室としました。
この場所で交わる人々の想いが、やがて地域の新たな価値の生成へとつながるように。私たちは“未来への起点”となる空間づくりを目指しました。
DATA
所在地:大分県大分市府内町
主用途:オフィス
構造・規模:RC造テナントビルの一室
改修延床面積:120.20㎡
竣工:2024年9月
写真 : 今枝あき(KINOCO PHOTO)