ホテルニューツルタ

ホテルニューツルタ

――湯けむりの街・別府の中心地、その海沿いに佇む老舗ホテル。

創業から1世紀以上、旅人を迎えてきた「ホテルニューツルタ」は、心身のやすらぎを大切にする伝統を受け継ぎつつ、新たな宿へと歩みを進めています。海と温泉に恵まれたこの街で、「より良く生きる人」のための滞在を。私たちはこのホテルの空間再生を、“ウェルビーイング”という思想を映す、新しい時間の舞台として設計を進めています。

 

建物の外観は、グレーと白を基調に整え、昭和と平成をつなぐ2棟のあいだに、穏やかな統一感と流れを生み出しました。廊下には、別府湾の朝焼けと海のグラデーションをモチーフにしたカーペットを敷き、うつろう一日を足元に映し出します。

7階の「プレミアム和モダン」は、畳敷きの小上がりや海を望むワークスペースを備えた、木と光に包まれるやさしく機能的な空間。現代性のある“和”の設えの中、窓辺に身を預けるひとときは、深呼吸のように日常をほどいていきます。

六階の展望大浴場は、別府湾を一望する象徴的な場所。朝日が湯面に映るとき、海と空が溶け合い、心もまた静かにほどけていきます。今回の改修では、建物の未来を見据え、屋根を温泉と海風に強い新構造とし、浴場内は高天井へ。窓の透明硝子も替え、光と眺望をいっそうクリアに引き寄せました。石張の浴槽や、温泉成分が重ねた記憶はそのままに、天井や照明、洗い場などを刷新。木目の天井材が、しっとりとした和のあたたかさを添えます。親子で並べる小さな洗い場も、新たに設えました。脱衣所も木調の鍵付きロッカーに更新し、番号表示はデザイナーによるオリジナル。細部にまで静かな心配りを宿しています。動線にゆとりをもたらすドライヤーブースも新設。

この改修は、ひとつの完成ではなく、これからも少しずつかたちを変えながら、滞在する人々とともに育まれていきます。

 

DATA

所在地:〒874-0920 大分県別府市北浜

主用途:ホテル

構造・規模:新館 鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造・地上6階建て/本館 不明・地上8階建て

建築面積:新館 507.73㎡ / 本館  ー

延床面積:新館 2,238.18㎡ / 本館  ー

竣工:2024年6月

Photos : 前田尚史(ローズカメラ)

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