由布院サテライトオフィス

SATELLITE OFFICE

由布院サテライトオフィス

暮らすように働き、地域と来訪者が繋がる新たな拠点

由布院駅からほど近く、宇奈岐日女神社への参道沿いに位置する旧・由布院観光総合事務所。この建物を改修し、地域の人々と外部からの来訪者がつながるサテライトオフィスとして再生した。地域における多様な働き方の受け皿づくりと、滞在型テレワークやワーケーションの促進を目的に、大分県由布市の公募型プロポーザルにより弊社が設計者に選定された。

本施設は元来、湯布院町における観光案内と地域情報発信のために建てられた建物であったが、長らく活用が途絶えていた。改修にあたっては、既存建物の骨格を尊重しつつ、新たに求められる機能と空間性を加えることで、「もうひとつの湯布院」を提示するような拠点としての再構成を図った。

 

設計において重視したのは、湯布院の風景と暮らしに“働く”という行為を溶け込ませることである。まちに対して閉鎖的であった従前の構成を見直し、外構の整理と建具更新により、視線と動線の導入性を高めた。エントランス前の舗装とアプローチ動線の設計には、歩行者との関係性が自然に生まれるよう配慮している。

内装には、九州産材および由布市内産のスギ材を主材として用いた。空間に木質面を広く展開し、開口部から入る自然光とともに、空間全体がやわらかな空気に包まれるような構成としている。エントランスカウンター背面の壁面には、丸太をスライスしたパネルを用い、金鱗湖に棲むとされる龍の鱗をイメージした造形を取り入れた。素材の記憶が、土地の物語性を静かに喚起する。

 

空間構成は、オープンなフリーアドレス席、1名~4名の個室ブース、8名程度の会議室、最大20名まで対応可能な多目的スペースなど、多様なワークスタイルに対応するゾーニングとした。用途や在室人数によって、集中・協働・交流を自由に切り替えられる柔軟性を確保している。

さらに、隣接する温泉施設「クアージュゆふいん」との連携を視野に入れ、ワークとウェルネスを横断する新しい過ごし方を想定。日常の延長にあるような気軽さと、外部との接続性を併せもつ場として設計した。敷地内には屋外イベントにも対応可能な庭空間を整備し、地域住民の集いの場としても機能する構成とした。季節のうつろいを映す庭の風景は、屋内にいてもふとした呼吸を促す。

 

由布院サテライトオフィスは、まちの奥行きに“もうひとつの起点”をもたらす拠点である。単なるテレワーク施設ではなく、土地の時間と空気にひらかれた、新しい関係性の受け皿として、今後も地域と共に成長していくことを願っている。

 

DATA
主用途/サテライトオフィス
構造・規模/鉄骨造1階建
建築面積/253.73㎡ (76.75坪)
延床面積/244.10㎡ (73.84坪)
施工/株式会社角田建設
設備設計/株式会社RISE設計室
写真/今枝あき(KINOCO PHOTO)

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