湯のまち別府のメイン通り「富士見通り」に面した敷地にて設計した、歯科クリニック「歯科医院丸尾崎」。黒い色粉を練り込んだ窯業系素材による2枚の大きな外壁の間に、シンプルで大きなガラス面と共にある伸びやかで明るい空間を設け、北側のやわらかい光が建築空間内に充満するようにしました。「準防火地域」という厳しい防火の規定があるエリアなので通常は「網入りガラス」になるのですが、大きな壁を防火壁をすることにより、透明複層ガラスとすることができました。室内外の色調と素材は白、グレー、オーク、黒に統一し、現代的な印象と、湯のまちらしい落ち着いた和の雰囲気を共存させることが出来ました。

 　内部の平面計画は患者さんと医療スタッフの導線分離型となっています。特診室には鶴見岳を望むことが出来る大きなピクチャーウィンドウを設置、やわらかい自然光を感じながら治療を受けることが出来ます。消毒コーナーでは最新の滅菌設備を導入し、汚染域から清潔域への作業フローを明確にした設計としました。

　エントランスには緩やかなスロープも設置されていて、様々な方の来院に配慮した設計となっています。2層吹抜けの気持ちのよい待合室の奥には、食と共にある人の幸せを真剣に考える院長先生ご夫妻たっての希望によって作られた、「モールテックス」のキッチンが設けられています。でも、なぜ歯科クリニックの待合室にキッチンなのでしょう？是非クリニックを訪れて先生に聞いてみて下さい。

 

DATA

主用途 / 歯科医院
構造・規模 / 木造２階建て
敷地面積 / 420.20㎡
延床面積 / 157.29㎡
構造設計 / イクスス二級建築士事務所
設備設計 / 株式会社エイコー技研
施行 / 有限会社メジャープラン
写真 / 針金洋介（針金建築写真事務所）