WALL DEN〜壁の巣窟〜

HOUSE

林立する壁に穴を穿ち住まう

この住宅は、緩と急の二本の坂道が合流する地点の狭間の土地に建つ。敷地の形状は細長く、直線や直角の無い不整形な形状だ。この立体的に捩れたような細長い場所で住宅を考えるにあたり、まず、ランダムに複数の壁が生えては消え、消えては生える光景を思い浮かべた。その壁の群れをある瞬間に停止させる。そしてその中程を残してばっさりと切り取り、残された林立する壁の狭間に住み込むことを考えた。原始時代に暮らす人類が、洞窟を見つけてそこに住み込むような感覚である。


壁に囲まれた場所は南北方向には抜けていて、東西方向は連立する壁によって空間が区切られた状態になる。両側の坂道からの視線からは保護される。壁の傾きに沿って、屋根を掛けると洞窟のような空間が連なった状態になる。真ん中は屋根を掛けず、壁を切り抜き、光と風を導く小さな中庭として確保する。区切られた空間同士を移動できるように孔を穿つ。そうすると区切られつつ繋がっている、ひとつの空間ができる。壁の角度や間隔、屋根の抑揚がそれぞれの場所によって異なり、個別の感覚とひとつに繋がっている感覚が同時にあるような住空間ができた。南北方向と中庭から空への抜けがあるので、外部とも繋がっている感覚があり、外と連続している感覚と外から守られている感覚が並存している。


壁は平行に建っていないが、その事は空間の抑揚だけではなく、構造的な効果もこの住宅にもたらしている。基準とする軸方向から傾いている分は、「袖壁」に相当する耐力壁の成分となり、南北方向、特に南の開口部に袖壁を設けず外部への連続性を確保することに繋がっている。


内部は、床、壁、天井それぞれ構造材として使用している針葉樹合板と連続小梁を現しとし、木質保護塗料を施すだけの仕上げとしている。この住宅の成り立ちを潔く感じられる空間としたかったからであり、また住み手がどのように住み暮らしてゆこうかと創造力を巡らせられるような状態で引き渡したかったからである。


建物概要--------------------------------------------------
主用途/住宅
構造・規模/木造1階建
敷地面積/628.79m2(190.21坪)
建物面積/138.63m2(41.94坪)
延床面積/110.26m2(33.35坪)
構造設計/株式会社黒岩構造設計事ム所
施工/新成建設株式会社
写真/矢野紀行(矢野紀行写真事務所)



外観


玄関


リビングから中庭を臨む


ダイニング


キッチンからリビングを臨む


中庭を囲う回廊1


中庭を囲む回廊2


居室


浴室

 
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    内部は、ハイサイド窓から光が落ちる光井を中心にスキップフロアで空間が連なっており、場所を床レベル差でゆるやかに分割している。内部にいる家族同士は、光井や連続した空間を介してお互いの「気配」を感じながら、一体感を感じて過ごすことができる。

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