大分銀行 赤レンガ館 リノベーション

大分銀行赤レンガ館リノベーションの概要
大分銀行赤レンガ館(旧第二十三銀行本店)は辰野片岡建築事務所(辰野金吾・片岡安)によって設計されたもので、「辰野建築」の中でも東京駅と同時期の大正2年に竣工された建築物である。戦時中には空襲を受け木造の内部を焼失。戦後の昭和24年(当時)にRC造によって内部を大掛かりに改築され・大分合同銀行本店として再生した。その後昭和41年に本店としての機能を新館に譲り、府内会館として利用され、昭和55年頃に一部を増築。平成5年に赤レンガ館として大幅に改修され、その後平成14年からローンプラザとして利用されてきた。平成27年4月に「ソーリン支店」にローンプラザが移転したためしばらくはATMや貸金庫等のみ利用されていた。平成30年3月20日、地域商社「Oita Made Shop 本店」、「タウトナコーヒー」、貸金庫、ATMコーナーとして新たに改修されオープンした。


大分銀行赤レンガ館リノベーションの総合コンセプト
大分の街が積み重ねてきた、歴史と今に出会える空間
「大分銀行赤レンガ館」は近代日本建築史における重要な文化財であると同時に、近代大分の歴史を証する貴重な建築物である。これまで多くの多くの努力が払われて保存活用がなされて来ており、それは大分市民の誇りとして受け継がれてきた。今回のリノベーションでは、現代の機能を収める空間として再生活用するにあたり、大分市民の誇りをさらに未来へつなげられるよう、これまでこの建築物が積み重ねてきた歴史を内部においても体感することができるような空間作りを目指して設計に取り組んだ。具体的には、中央通り側のレンガ造壁面は、レンガを覆っていたボード、軽鉄、漆喰モルタルなどを取り去り、本来の構造体としてのレンガの表面がありのままに見えるように露出させた。平成の改修で造られた大理石の時計版も一部残しており、銀行の営業時間を示す文字盤が残っている。



歴史に触れた感覚を生み出す空間づくり
現在の「大分銀行赤レンガ館は」大分中心市街地にて、歴史的文化財としての正当性を備えた外観によってその存在感を示し象徴的存在となっている。内部は機能に沿った現代の設えが施されてきたが、この度のリノベーションでは来訪者が入館した瞬間に、この建築物が積み重ねてきた時間の積み重ねを感じて感動が得られるような空間設計を目指している。具体的には、本来の空間の大きさを体感できるように天井の梁をみせること、大正2年建設当時のレンガ壁をみせること、戦後の改修時のRC部分や構造体を見せることなどがある。また床面は、レンガ壁や空間を引き立て、空間の質を高め、現代性を感じられる素材としている。全体としては「引き算の発想」でデザインすることとし、極力あらたなものは付加せずありのままの空間を見せられるよう考えた。


辰野金吾について
日本で最初の民間建築設計事務所の創設者である。多くの銀行建築や鉄道関連施設、教育施設などを手がけた。辰野が活躍した時代においては曽禰達蔵、片山東熊、佐立七次郎などの同級生や後輩である妻木頼黄らとのライバル関係の中で最も活躍した建築家と言える。
略歴
■1854年(嘉永7年)肥前国(現在の佐賀県)に生まれる。
■1873年(明治6年)工部省工学寮(のち工部大学校、現代の東大工学部)に第一回生として入学。
■1879年(明治12年)造家学科を首席で卒業(同期生に曽禰達蔵、片山東熊、佐立七次郎)。
■1880年(明治13年)英国留学に出発、コンドルの師であるバージェスの事務所やロンドン大学で学ぶ。
■1884年(明治17年)コンドルの教授退官後、工部大学校教授に就任。
■1886年(明治19年)帝国大学効果大学教授、造家学会(のちの日本建築学会)を設立。辰野金吾建築事務所を設立(所員は岡田時太郎)。
■1898年(明治31年)帝国大学工科大学学長
■1905年(明治38年)片岡安と辰野片岡事務所を解説(大阪)。
■1912年(明治45年)早稲田大学建築学科顧問に就任。
■1919年(大正8年)死去辰野が得意とした赤レンガに白い石を帯状にめぐらせるデザインは、ヴィクトリアン・ゴシックに影響を受けたもので、辰野式建築として知られる。明治から大正にかけて多くの建築家がこれを模倣した。


将来の耐震補強にむけてのプロセスとして考える
この建築物は、現代の耐震基準を踏まえると、将来に耐震補強を伴う改修が必要となることが予測される。そのため、今回のリノベーションを「将来の大規模改修へ向けたプロセス」として捉えて設計した。アスベスト含有建材は完全に除去し、今回新たに設置したが将来の大規模改修では壊したり撤去しなければならないものや工事は極力抑え、使用可能な下地などは再利用し、将来の耐震補強がコスト面で手間の面でも削減されるような方向での設計としている。


大分を代表する素材「スギ」と「竹」による、質感を活かしたシンプルな構成
地域商社「OitaMade」のための設えは、大分を代表する素材である「スギ」の質感を感じられる、極力シンプルなデザインとした。また、レジカウンターの周りには間接照明と組み合わせた、別府竹細工による「煉瓦編み」のスクリーンを使用しており、大分の産品を現代的なセンスで紹介する「OitaMade」に相応しいものを目指して設計した。

巡って楽しめる、展示什器による空間づくり
展示什器は「卓袱台(ちゃぶだい)」を連想させる円形のデザインとしている。円形の部分は様々な大きさで、高さは3段階となっている。足の長さを変えることで、部分的に重ねたりしながら、展示を自由に組み替えることができる。配置によって動線をコントロールしたり、様々な巡り方ができるようにできる空間什器である。素材は「スギ」としている


「OitaMade」や赤レンガ館と調和した、素材の質感を活かした空間づくり
コーヒースタンドは、赤レンガ館のコンセプトや「OitaMade」の設えと調和する、素材感を活かした設えとしている。コーヒーという強い特徴や香りのある飲料を中心とした販売となることを踏まえ、素材感を活かしたシンプルな構成の中にも特徴的でリズミカルな意匠を仕込む。
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